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〜 其の一 〜

四月、春麗らかな昼下がり。ここは東京のとある公園。 見事にさくらが満開で花見客もたくさん来ている。
その人込みの中に、一人の少女が困った顔をして辺りを見回している。

少女  :えっと、今日来るはずの人は...だめ、わかんない。

彼女の名前は沢渡ほのか。どうやら彼女は人を探しているらしい。

ほのか:米田さんから預かった写真、落としちゃったし、どうしよう〜。
あんまり中身見ていなかったし、向こうは私の顔知らないと思うし...
もう十一時半かぁ、一回戻ろうかな...あれっ?あの人は...

ほのかの見ていた先には一人の男性がいた。その男は、ほのかに気が付いた

男   :あれ、ほのか?どうしてここに?

どうやらその男は、ほのかの知り合いらしい。男の名前は東條 誠

ほのか:やっぱり!東條君だった。私ね、ちょっと人を探してるんだ。
誠   :誰?友達?
ほのか:ううん、頼まれたの。でも、その人の写真落としちゃって、どの人かわかんないの。
だから、一回戻って来ようかと思ってたの。
誠   :ふ〜ん。じゃあさ、俺も一緒に手伝おうか?
ほのか:いいの?だったら写真取りに行くの付き合ってくれる?
誠   :うん、いいよ。じゃ、行こうか。

そして二人は、公園を後にして歩いた。数分後、ある建物に着いた

誠   :ここはどこだ...劇場?なんで劇場なんかにほのかが...

二人が建物の中に入ると、元気の良さそうな女の子がほのかの帰りを待っていた。

女の子:おっかえり〜ほのかちゃん。どう?新しい人、みつかったぁ〜?
ほのか:ううん、ちょっと写真落としちゃって...それでこの人に探すのを手伝ってもらおうと思って。

誠がほのかの後ろから、ひょっこり顔を出す。

誠   :あれ?その声もしかして...えみる...?

彼の存在にえみるが気づく。

えみる :ダーリン?そこに居るの、ダーリンなの?
誠   :そうだけど...えみるがどうしてここに?
えみる :ダーリンだりゅ〜ん!会いたかったぁ!

驚いている誠に向かって、えみるが飛びつくと、ほのかは、不思議そうに言った。

ほのか:あなたたち知り合いなの?
誠   :う、うん...

誠は気まずそうに言う。そこへえみるが嬉しそうに、

えみる :ダーリンはえみるのぉ、ダーリンだりゅん♪
ほのか:...えみるちゃん、あなたにちょっと聞きたい事があるの。ちょっとこっちに来てくれる?
それから東條君、あなたはこのパンフレットを見ながら館長の所に行って訳を話して写真を受け取ってきて。
私ちょっとえみるちゃんと話があるから・・・

そう言うと、ほのかは、不機嫌そうにパンフレットを誠に渡して、えみると二階へ行ってしまった。

誠   :え、ちょ、ちょっと...ほのか...。まいったなあ、仕方ない、館長室に行ってみるか。

そうして誠は、パンフレットを見ようとした時、食堂と書いてある部屋から、女性の悲鳴が聞こえた。

女の声:きゃあ〜!!誰か、誰か助けて〜!

誠がその声を聞いて驚き、食堂を覗いてみると、一人の少女が椅子の上で、パニックに陥っていた。

誠   :どうかしましたか!?

誠は、食堂の中に飛び込んだ。

少女  :ゴ、ゴ、ゴキブリが、あ、あの、あの机の下に!
誠   :机の下?あのテーブルクロスの中か!

少女の指差す方向を睨み、テーブルクロスをめくる。

誠   :いた!このゴキブリめ!!

手に持っていたパンフレットでゴキブリを叩き潰した。

バシーン!!

勢いのいい音とともに、ゴキブリはペッシャンコになった。

誠   :ふーっ。もう大丈夫だよ。

誠は少女の方を振り替える。そして少女の顔を見て驚いた。少女も我に帰り、誠を見る。

誠   :あ、あれ?若菜?
若菜  :え?...あ、あなたは。

ようやく、二人がお互いの事に気づく。

誠   :ど、どうして若菜までがここに...一体ここはどこなんだ?
若菜  :ここは劇場ですが...それよりもあなたが何故ここにいらっしゃるのでしょうか...

お互いがお互いの存在に驚き、訳がわからないまま話が進む・・・

誠   :俺はちょっと知り合いに頼まれて...ってしまった!早く館長室に行かなければ!
若菜、館長室の行き方わかる?パンフレット使えなくなっちゃったから...
若菜  :館長室ですか?それならば、この食堂を出て、突き当たりを右に行けば左側にありますけど...
誠   :ありがとう!またあとで時間があったら、ゆっくり話そう。それじゃ!

走り去ろうとした誠を若菜が呼び止める。

若菜  :待って下さい!
誠   :え?

誠は、走り去ろうとした足を止める。

若菜  :驚いていたので言いそびれましたが、先程はどうも有り難うございました。
誠   :ああ、そんな事ならいつでもお安い御用だよ。俺は先を急ぐから。
若菜  :はい、それではお気を付けて...

誠は食堂を後にし、若菜に言われた通りに、館長室へと向かった。

誠   :ここが館長室か...
???:あ、あの...大神さんですか?
誠   :ん?

誠が声のした方へと振り返ると、そこには、一人の少女が立っていた。

誠   :違いますけど...って、今度は真奈美...?
真奈美:あっ、お、大神さんじゃないんですか?すみません。失礼しました。

立ち去ろうとする真奈美を誠が呼び止める。

誠   :ちょっ、ちょっと真奈美?待ってよ、俺だよ!

真奈美は立ち止まり、誠の顔を見て驚く。

真奈美:えっ?あ、あなたは...どうしてあなたがここにいるんですか?
誠   :それはこっちが聞きたいよ。何で真奈美がここに居るの?

誠の一言に、真奈美は恥ずかしそうな顔をして言った。

真奈美:す、すみません。私なんかがここに居たらいけませんよね。
誠   :い、いやそう言う事じゃなくて...あ、ちょっと待って...!

誠が呼び止めるのも聞かず、真奈美は走り去った。

誠   :行っちゃった...あとで謝らないと...
このぶんじゃあ晶とか優にも会いそうな気がする...それよりも、まずは館長に会わなくちゃ。

誠は嫌な予感を感じながら館長室に入ろうとした。




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