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〜 其の四 〜

誠   :館長の所にいったら、まず何て聞こうか...やっぱり隊長って何のことかかな?
それとも...モギリの事についてはじめに聞いて...

などと考えているうちに、いつのまにか、館長室の近くに着いてしまった。

声   :それでは、失礼いたしました。

館長室の中から、一人の少女が、挨拶をして出てくるのを、誠は見かけた...

誠   :(あの眼鏡をかけている娘は...もう、何を見ても驚かないや、きっとこれは夢か何かなんだろう。)

そう自分に言い聞かせ、誠はその少女に話し掛けた。

誠   :美由紀。

美由紀と呼ばれた少女は、自分が呼ばれたのに気がつき、誠の方を振り向いた。

美由紀:はい?...あ、東條君。本当にここに来てたのね?
誠   :あれ?美由紀は驚かないの?

美由紀の普通の態度に、誠の方が一本取られたような顔をする。

美由紀:うん、たった今、米田館長からあなたがここに来た事を聞いたから...でも、何で東條君がここに来たの?

逆に美由紀に問い返され、しどろもどろに返答する誠。

誠   :えっと、その、たまたま知り合いに会って、それで、あの、たまたまここに連れて来られて...

その様子を見て、美由紀が微笑んで言う。

美由紀:ふふっ、でも、おかげでまたあなたと会えたね。

恥ずかしそうに頭をかきながら、誠は本来の用事を思い出す。

誠   :う、うん...あ、それでさ、俺も館長に用事があるんだった。中にいるの?
美由紀:それが...今から30分程忙しいから、誰も館長室に入れないで欲しいそうなの...
誠   :そっかぁ...じゃあ、少しこの劇場の中を回ってみようかな?
美由紀:それだったら、私が案内する?

美由紀の一言に、一瞬、誠は焦った。

誠   :(マズイ...美由紀に案内してもらって、ほのかや真奈美に会ったら、またややこしい事になりそうだ...)
いや、一人でいいや。美由紀もこれから忙しいんじゃないの?
美由紀:ううん、そんな事は無いけど...それなら私は、事務室で、ちょっと雑用をしてくるね。
あ、それから、ここのパンフレット、持ってる?
誠   :いいや、持ってないけど...

誠の返事を聞くと、美由紀は手に持っていたいくつかの本の間から、パンフレットとカードを取り出す。

美由紀:だったら、これを持っていくといいわ。中にここの地図が書いてあるから...
それと、このカードは、二階に上がるのに必要なカードキーなの。
一応これはあなたのじゃないけど、誰が使っても一緒だから、取り合えず今はこれを使って二階に上がって。
明日までにはあなたの分も発行されるらしいから...
誠   :へえ...カードキーなんかもあるんだここは...俺もここの関係者になったって事か...
あ、パンフレットありがとう美由紀。じゃあ、頑張ってね。
美由紀:はい、それじゃあ、私はこれで...

パンフレットとカードを誠に渡すと、美由紀は事務室へと歩いていった。

誠   :さてと...館長室が開くまで、どこに行ってみようかな...?
まず二階に上がる前に、これに書いてある、舞台の方に行ってみようかな?
このカードがあれば、楽屋の方に入れると思うし...とりあえず行ってみよう。

誠はパンフレットに書いてある地図を見ながら、舞台の裏側にある楽屋の方に向かった。

誠   :ここかあ...中に入ってみようかな...
待てよ?確かこのパンフレットには、今この時間は休憩時間とか書いてあったな。
ってことは、この中にはみんな居る訳で、俺が入っていったら、パニックになりかねない...
しょうがない、別の所に行くか...

などと、誠が考え事をしていると、中から真奈美が出てきた。

誠   :真奈美...
真奈美:あっ...誠さん。お仕事ご苦労様でした。ところで、どうしたんです?こんなところで...

誠は、部屋の中に聞こえないように、少し小さな声で、

誠   :はっ、ははは...いや、その...みんなの様子を見に来たんだ。頑張っているだろうと思ってね...
真奈美:皆さんならここにはいませんよ。今は休憩時間なので、二階の方でくつろいでいると思います...

それを聞いて、誠は少しほっとした。

誠   :あ、そうなんだ...その、真奈美もご苦労様。ところで、今どこに行こうとしてたの?
真奈美:私は、舞台袖のところに行って、さっきまでの片づけと、第二幕の準備をしに行くんです。
誠   :だったら、手伝おうか?
真奈美:いえ、準備といっても、すでに用意してある小道具を、使いやすい様に出すだけで、すぐに終わります。
私一人でもじゅうぶんです。それに、舞台袖の方は、一応劇に出る人以外は立ち入り禁止なので...
誠   :そう?だったらいいけど...それじゃあ頑張ってね!
真奈美:はい!それでは...

そう言って、真奈美は廊下を歩いていった。

誠   :俺はとりあえず二階に行ってみるか。

そう言って、楽屋を後にした誠は、二階への階段を目指して歩いた。

誠   :ここを上にあがって...カードはどこで使うんだろう?

そう言って誠は、階段を上っていった。すると、一枚のドアが見えた。

誠   :成る程...ここをカードキーで開けるのか...

ポケットからカードキーを取り出して、ドアの横の機械に読み取らせる。

ピッ...ガチャッ!

誠   :開いたみたいだな...どれ...

誠がドアを開くと、テラスに出た。すると、えみるがこっちに歩いてくるのが見えた。かわいい衣装を着ている

誠   :お〜い、えみる〜
えみる :あっ、ダーリン!どうしたの?こんなところで...

呼ばれた事に気づいたえみるが聞く。

誠   :うん...その...

誠は辺りを見回す。他に誰もいないのを確認して、続ける。

誠   :えみるの様子を見にね、ほら、頑張っているだろうと思って...
それにしても、その服、かわいいね、とてもえみるに似合ってるよ。
えみる :わぁ〜、ダーリンに誉められちゃったぁ!嬉しいりゅん♪

えみるの無邪気な笑顔に誠は、一瞬クラッっとくる。

誠   :(うっ...かわいい)う、うん。第二幕も頑張ってね。俺も見れたらえみるの姿を見に行くから。
えみる :うん!それじゃ〜えみりゅんもぉ、がんばるりゅん♪
誠   :えみるは一階に行くの?
えみる :真奈美ちゃんのお手伝いするの。
...あっ、真奈美ちゃんっていうのはぁ、さっきダーリンを案内した人だりゅん!
誠   :あっ、手伝いに行くんだ...それじゃあ、準備の方も、気をつけてね。
えみる :じゃあね〜♪

えみるは嬉しそうに扉を開けて、階段を降りていった。

誠   :ふう...えみるの舞台姿、かわいかったなぁ...っと、これで、二階にいるのはほのかと若菜か...
若菜には手紙を届けないとな...あと10分か...急ごう。

誠は、二階の廊下を歩き出した。



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